人は物語を共有し伝えてきた
「月の兎」の話のように、人は地域や時代を超越して神話や説話などの物語を伝えてきました。物語とともに生きてきたのです。月の兎の話をするお母さんと聞く子供のように物語は話す人と聞く人のこころの交流です。そこで流れているのは人が持っている真実、生きる力。それに気がついた人は同じ物語を誰かに話したくなります。物語の持つ真実を伝える力で誰もが「語り部」になるのです。
エジプトを出て旅するモーセの話を伝承するヘブライ人。慈悲の心を説いた仏陀。スサノオとアマテラスの伝説を話す稗田阿礼。英雄冒険譚(ユーカラ)でカムイと人間の関係を語るアイヌの人。古来から語り部たちは物語で真実を伝え、生きる力を湧出させる語りの力を知っていました。
時を超えて生きる力を湧出
そして私たちの時代でも。「I Have A Dream」と人間の平等を訴えたマーティン・ルーサー・キング・ジュニア。プラハに自由と愛のメッセージの壁「Lennon Wall」を出現させたジョン・レノン。「Think different」と違うことの強さを標榜し、実行するスティーブ・ジョブス。「精力善用」「自他共栄」を理念とし、世界のJUDOへ導いた柔道の創始者、嘉納治五郎。「ほんとうのさいわい」を探し続ける宮沢賢治。祖母が語る「カムイユーカラ」を伝えたアイヌの少女、知里幸恵。河童、天狗、雪女の伝承を聞き「平地人を戦慄せしめよ」と民俗学を始めた柳田国男。青空説法で「生きる尊さ」を語り、悩める人を元気にする瀬戸内寂聴。「元気ですか!」と私たちを勇気づけるアントニオ猪木。「利他のこころ」の大切さを経営者に語る稲盛和夫。
語り部の力は「ほんとうのいいこと」を伝え、時を超えて生きる力を湧出させつづけています。
語りの力で「いいつながり」をつくる
コミュニケーションの基本はお母さんと子供のようなこころの交流。一方的な上下関係ではなく双方向の信頼関係です。情報の受け手(聞き手)が共感し、感情移入できる優れた物語を語ることができれば聞き手のこころをつかむことができます。
今は誰もが情報発信者であり情報受信者の時代。仕事を進めるうえでもブランドのロイヤリティ、顧客へのリレーションシップ、従業員との相互信頼等「いいつながり」をつくることはますます大切になってきています。
クリエイティブ、マーケティング、広報、営業、経営トップ層、プロジェクトリーダー、そして伝わらないと悩んでいるすべての人たちに。物語で自分を語り、ビジョンや商品・企業イメージを伝えてみませんか。
私たちは、世界をよりよい場所にするため、物語や語り部を研究し、人と人が互いを敬う「いいつながり」を提案しています。
物語ること Storytelling / Narrative
語り部が「物語ること」は太古の昔から人が繰り返してきたコミュニケーションです。「語り部マーケティング」はこの「物語ること」をコミュニケーション活動に応用したマーケティング方法です。ナラティブアーク、ヒーローズジャーニー、3の法則、共感力など「Storytelling」には様々な基本パターンがあります。